そこに無かったもの

三題囃第三弾!!

今回のテーマは

「感傷」「憂い」「愛情」 @Taiki さんから

 

 

 

毎作文3000字なんだけど

どうかな?長いかな?

試しに今日は1000字目指してやりますね。

 

 

事を終え、私はタバコに火を付ける。

 

ベッドの上でぐったりと横たわる男、

 

こいつはヒモ。

本当にセックスがうまいから一緒にいる。

それだけの関係。

 

真っ当に生きろと大人は言う。

 

真っ当ってなんだ。

 

みんながみんな騙しあって生きている。

 

そんな虚言めいた世界に果たして正解なんてあるのだろうか。

 

私は鞄から絡まったイヤホンケーブルを取り出し耳に嵌める。

 

好きも嫌いも、酸いも甘いも全部受け入れていけるほど

自分が強くなった覚えもない。

 

もしそれを大人だって言うのならば、

私は何者でも居たくない。

 

 

ホテルを出て

歓楽街を抜け

大学に向かう。

 

 

シワのないピントしたスーツ、なのに憂鬱な態度。

とても綺麗な女、でも悲壮な顔。

楽しそうな学生、だけど苦しそう。

 

そうか。今日は月曜日か。

 

 

通勤ラッシュ、

サラリーマン達に押しつぶされる。

本来なら嫌なはずなのに、今日はそうではない。

 

最寄駅につく。

大学にはここから20分も歩いかないとつかない。

 

ぼーっとしながら歩いていると

クラックションを鳴らされた。

自然と涙が溢れてきた。

死にたくなった。

いっそのこと轢き殺された方がどんなに楽だったのかな。

 

いつから私はこんなにも感傷的になってしまったのだろうか。

見上げると、鳥たちが自由に空を羽ばたいていた———。

 

ああ。今日は学校サボろう。

 

 

 

私は風船。

 

どこにもでもいけるし

誰も私の捉え所を見つけることができない。

 

だから私には夢があるの。

 

誰か私に手錠をかけて。

そして柱に鎖で縛り付けて

自由を奪って。

 

それが愛情って奴なんでしょ?

 

そしたら私ちゃんとできるから。

 

 

歳を重ねる度に、

自己嫌悪だけは上手くなった。

 

人や社会、娯楽もそうだ。

私は彼らから

無駄な語彙力だけを貰い、

その結果、

色々な強い言葉で

自分を傷つけることができるようになった。

 

きっとそう言う輪廻なのだろう。

 

生きることは

歩み続けることは

苦しむこと。

 

 

自分自身の肯定

存在価値の証明作業が人生だ。

 

 

 

お父さん。

お母さん。

そんなちっぽけな理由で生まれてきてしまって

ごめんなさい。

 

 

神様なんて居ない。

ここにも、どこにも。

 

この世界は最初から地獄だったんだ。

 

でも私たちはずっと勘違いしたままだから

 

他人の粗探しばかりしてしまうんだ。

 

 

ねえ。

私の髪を解いて。

ほら前が見えなくなった。

 

ねえ。

服を脱がせて。

そして真っ白な服を着せて。

ほらあなた色に染めやすくなった。

 

ねえ。

その剣で私の胸を刺して。

ほら何も感じなくなった。

 

 

愛も憂いも。