継承

三題囃 第4回目 本日のテーマは

「虚勢」「夢現」「恋慕」 @Taiki さんから。

 

 

 

小生は犬で候。

 

純情無垢なわんちゃんで

生まれも育ちも高知県なり、

犬種は土佐犬に属するでござる。

 

先日、やんごとなき娘がおった。

 

小生、かの女を修羅であると思ひ、

強固土の筒にマーキングす。

 

小生、女猟奇的母性発揮せざる。

故に後尾、

後に出産しうる

三匹の息子娘を身籠る。

 

小生、列記とした父になる。

 

とある日、

向こうからさらなるやんごとなき娘現る。

 

小生、勃起の後

射精。射精。射精。射精。

猿へと昇華する。

 

まさに夢現じゃ。

現実と非現実の境目を失う。

眼球は常にキマリ、

飼い主心配せし

小生を病院なる場へ連れて行く。

 

医者、かく言う。

虚勢必要なり。

 

小生、消沈。

からの死す。

気づけば犬へと姿を戻す。

 

小生、今季は

かのやんごとなき娘の主人に

流鏑馬の的として雇われる。

 

主人の弓術、いと下手し。

胴に装着せし、的射抜かず、

なぜに

的よりも小せし

我が足の爪を

的確に命中す。

 

かの才能

かつての源義経の如し。

 

小生、かの主人に

恨みを持つ。

 

ある日、

値千金の絶好のチャンス到来す。

小生、かの主人のおきんたま目掛けて

犬歯を剥き出しにし

会心の一撃を喰らわす。

 

かの主人、

もがき、苦しみ、泡を吹いた後、死す。

 

以来小生、

十束の邪犬と

今世の人間どもに恐れられる。

 

 

 

 

 

これは、今尚高知県で語り継がれる話だ。

伝承される時としては、

叔母が孫を脅かすときに物語る。

 

八月の暮れの深夜28時、

大黒山にて、

今もかのやんごとなき娘を恋慕する犬が

現れるとかないとか。